今週の発達障害関連ニュース(2017/12/24-12/30)

発達障害に関する今週のニュースをまとめました。

目次

相模原殺傷事件 記者が犯人と面会、ラジオ放送

RKB毎日放送の神戸記者が植松被告と面会し、そのやりとりをラジオ放送で報告しました。

神戸記者は自閉症の息子さんをお持ちの方で、津久井やまゆり園事件が起きたとき、犯人の発言に大きなショックを受けたそうです。

「障害者は不幸を作ることしかできない」という植松被告の供述を聞いた神戸さんは「心の中をやすりで削られている」ような感覚に陥ったという。
https://mainichi.jp/articles/20171228/ddm/004/040/007000c

この記者さんはその後本も出版しています。

横浜拘置支所でアクリル板越しに面会して言葉を交わし、犯人が障害者の特性をよく分かっていないことなどが分かったとのこと。上記毎日新聞のリンクに、放送された犯人とのやりとりが載っています。

ADHDは事故に遭いやすい。自動車の運転力を上げる研究がスタート

ADHDのある人は目の前の危険を察知する能力が低く、自動車事故のリスクが大きい。

これは、すでに明らかな事実となっています。

ADHDがある人が早死にする率は、ADHDがない人に比べると、子どもで約2倍、18歳以上の大人で約4倍になった。詳細は不明だが、ADHDの死亡者のうち、死因がわかっている人の多くが「事故死」だったという。
http://healthpress.jp/2017/12/post-3407.html

 

この能力を向上させるトレーニングの開発が行われているというニュースです。

オーストラリアの研究で、アプリを使ってADHDの被験者にトレーニングを行い、運転時の注意能力を向上させた結果が報告されました。

研究を行ったのはSchool of Allied Health、発表媒体は2017年10月14日版”Accident; analysis and prevention”です。

論文の著者らは「ADHDドライバーに対するスマートトレーニングは危機感知能力を大幅に改善し、一定期間持続させる。トレーニングに対する多様なアプローチが、維持を容易にすることが示された。本研究によって今後、本格的な試験が実施できる」と述べている。
http://healthpress.jp/2017/12/post-3407.html

本格的な研究の前段階として行われたものだそう。

今後の研究とトレーニングの開発が待たれます。

乳児の泣き声で言語・認知の発達を判断 京都大学

京大医学部グループの研究で、泣き声のバリエーションが豊富な乳児は、その後の言語・認知の発達が良好であることがわかりました。

研究チームは、予定日まで成長した早産児77名と生後1週間前後の満期産新生児30名を対象に、授乳前の泣き声をICレコーダーで収集し、音響解析を行った。その後、それぞれの児が1歳半に達した時点で言語や認知発達の評価を行い、泣き声の特性との関連を調べた。
http://univ-journal.jp/18020/

赤ちゃんの声を録音して聞き比べる。なんだか楽しそうな研究ですね。

放課後デイサービスの急増 質の担保に向けて規制へ

放課後デイサービスとは、一般の学童保育では対応が難しい障害のあるお子さんを夏休みや放課後に預かるサービスです。平成24年の児童福祉法で法制化されました。

放課後デイサービス事業、この5年間でなんと4倍以上に急増しています。その背景には、参入規制の緩さがありました。

しかし現在、悪質な業者が増えているそう。

こうした放課後デイサービスの中には、ただテレビを見せているだけといった自立支援としてのサービスとしては疑問が残るといったケースも少なくない。
http://economic.jp/?p=78678

これに対応するため、厚労省は放課後デイサービス事業の基準を厳しくしました。

これまでは職員の資格は不問とされていましたが、今後は、「保育士」「児童指導員」の資格を持ち、障害福祉サービスの経験があることを必須条件とするとのことです。

障害者差別解消法から1年半 効果なしとの声

2016年4月に障害者差別解消法が施行されて一年半になりますが、障害当事者の9割が効果を感じていないことがアンケート結果からわかりました。

障害者差別解消法施行から1年以上が経過したが、調査結果からは法律が「浸透していない」が92%、法施行以降も差別・偏見が「改善していない」が89%、合理的配慮を「受けやすくなったとは思わない」という回答が84%と、依然として多くの障害のある人が法施行による効果の実感に乏しいことがわかった。
http://economic.jp/?p=78637

奥山佳恵さん ダウン症のお子さんの進学先選択に様々な反響

次男のダウン症罹患を公表している奥山佳恵さん。

来年度、小学校に進学なさるお子さんの進学先を選択する時期になり、夫婦で考えていることをテレビ番組で放送され、反響を呼びました。

当初、夫妻の意見は分かれていた。同世代の友達を作ったほうが次男の財産になる、また障害の有無で入り口を分けることに疑問を覚える奥山さんは、次男を通常学級に進学させることを希望。他方、奥山さんの夫は、次男に必要なのは通常学級よりも、個性を育むための教育ではないかという考えであった。
http://wezz-y.com/archives/51281

障害のある児童に対応するための進学先は3つ。

特別支援学校、普通学校の特別支援学級、普通学校の普通学級です。

進学先を誰が決めるかは地域によって異なるようですが、奥山さんの地域では、保護者の意見を尊重して教育委員会が決めるのだそう。

奥山さんは、普通学級を希望することをブログで発表しました。チャレンジしてみて、合わなければ柔軟に対応するつもりだそうです。

中央大学がダイバーシティ宣言 合理的配慮を明記

2017年10月、中央大学がダイバーシティ宣言を発表しました。

中央大学ダイバーシティ宣言
1
学びは、良き生き方を探し実現するうえで、たいへん大切なものです。人びとには学びたいという気持ちがあります。学んだことを生かして良き生き方を実現したいと願っています。そうしたなかで、これからの社会は、どんな背景をもつ人に対しても、学びのための平等な機会を提供できなければなりません。大学を始めとする教育機関は、良き生き方を実現するための学びの機会を提供するための最も重要な場です。それゆえそれらの教育機関は、障害、病歴、経済状況、家庭環境、性別、性自認、性的指向、年齢、国籍、人種、言語、信念、宗教などによって、学びの機会が損なわれることがないような環境を整えなければなりません。

2
私たち中央大学は、豊かな感性と人間力を備え、高度な専門性をもって国際社会に貢献できる人材の育成に取り組んでまいりました。いま私たちは、すべての人びとに学びの機会が平等に開かれることの重要性を認識しています。そして、私たちとともに学びたいという希望を持つすべての人びとが差別なく集い、のびのびと学ぶことのできる学修環境を提供します。すべての人びとが相互に認め合い、力を高め合える学修環境を提供します。さらに私たちは、多様な人びとが教育と研究のためにともに働く職場環境づくりをめざします。

3
そのために私たちは、以下の取組を進めていきます。
第一に、障害、病歴、経済状況、家庭環境、性別、性自認、性的指向、年齢、国籍、人種、言語、信念、宗教など、多様な背景をもつ人びとが、ともに学び、ともに働くことのできる環境をつくります。
第二に、ともに学ぶ人びとが個人の能力を最大限に発揮できる職場環境をつくり、またワーク・ライフ・バランスの実現をめざします。
第三に、障害のある本学構成員に対する合理的配慮を推進し、さらに社会的障壁の除去に対する理解の醸成をすすめます。
第四に、あらゆる人びとの人権を尊重し、偏見にもとづく差別や人権侵害が生じることのないようにします。

私たちは、人類社会を構成する一員として、社会とともに、以上の取り組みを着実にすすめてまいります。
(http://www.chuo-u.ac.jp/usr/diversity/)
(強調は引用者)

2018年度は、ダイバーシティに関する連続講演を予定しているとのことです。

京都産業大学 障害学生支援のガイドライン策定

京産大は、障害者差別解消のための取り組みとして障害学生への対応につき教職員ガイドラインを策定しました。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する京都産業大学の教職員対応ガイドライン
京都市北区に位置する一拠点総合大学、京都産業大学の公式Webサイト。入学案内をはじめ、教育・研究に関する情報を掲載。

5条には合理的配慮の提供が明記されています。

もっとも、配慮をうけるためには学生が教員に障害をカムアウトして配慮の提供を求めなければなりませんから、心理的なハードルは高いでしょう。

とはいえ、このように配慮の提供を名文で規定すること自体が障害のある学生には勇気を与えることだと思うので、取り組み自体は歓迎です。

中大といい、京産大といい、大学が学生の中に発達障害者がいることを意識し始めたのはよいことだと思います。

発達障害児の育児経験者が相談 ペアレントメンターえひめ発足

愛媛大学医学部看護学科が、発達障害者の親に支援を提供する「ペアレントメンターえひめ」を発足させました。

愛大医学部子育て研究会では、2016年11月から学習会などを開いて保護者10人をメンターに登録し、17年3月には初めて県内4カ所でグループ相談会を開いた。
https://ehime-np.co.jp/article/news201712240021

メンターとなるのは発達障害児を育てた経験のある親御さん。

相談支援などのトレーニングを受けて、同様の状況にある親御さんの支援を行い、将来的には個別相談も行いたいとのことです。

※このエントリは、発達障害関連のニュースを自動で収集してくれるRSSフィードという仕組みを使って書きました。
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