確定申告のシーズンがやってきます。会社員の皆さんも人ごとではありません。確定申告すれば税額が安くなるケースがありますし、ふるさと納税をするなら今年のうちです。ということで今回は税金をテーマとしました。私自身が知識不足だったので、勉強しながら知識を整理するつもりで今回のエントリを書きました。
確定申告とは
収入のある人は、全員、1年ごとに所得税を払わなくてはなりません。自分で収入額から税額を計算して自分で所得税を支払う手続をします。
これが、確定申告です。
個人事業者は毎年2~3月に確定申告をして、前年度の収入と所得税額を自分で計算し支払っています。
源泉徴収とは
ところが、会社に所属して給料をもらっている人の場合は異なります。会社員の場合、会社が所得税の計算と支払を代行してくれるのです。便利ですね。
会社は、一年のはじめに「この一年でこの人に払う給料はこれくらいだろう」と予想して所得税を計算し、その金額を毎月割り付けて給料から天引きします。これが所得税の「源泉徴収」です。毎年末に会社からもらえる「源泉徴収票」は、この徴収額を証明するものです。パート・アルバイトの方も原則として会社が源泉徴収を行ってくれるので、自分で所得税を計算して納める必要はありません。
年末調整
会社が行う源泉徴収は、年初に予想した給料の支払予想額に基づきます。
しかし実際に残業してみなければ残業代は計算できませんし、ボーナスの額は会社の業績などに左右されます。給料の額は現実に支払われるまでいくらになるのか分かりません。ですから実際の給料額と年初の給料支払い予想額はズレます。所得税額は、所得額つまり給料額に応じて変わりますから、給料額がズレたら支払うべき所得税額もズレます。だから「年末調整」を行う必要があるのです。
年末調整とは、実際に支払った給与額と、年初に想定した給与額のズレを修正する作業です。税金を払いすぎていた場合は、払いすぎた額を返してもらえます。会社員の場合は、年末調整も会社が代行してくれます。
以上のとおり、会社員の方は自分で確定申告をしなくても税金の支払手続は終わっているので、ご自分には必要無いと思うかもしれません。しかし、次のとおり確定申告をした方がトクになる場合があるのです。
会社員でも確定申告をした方がいい場合がある
実は、所得税額が安くなる様々なケースが定められており、該当する場合は確定申告をすることで所得税の減免を受けられるのです。その年の確定申告が終わってしまった場合も、還付申告をすることで5年前まで遡って申告することができます。
どのような場合に税金が安くなるのかざっくり説明します。
扶養家族が増えたとき
結婚して相手の生活費を自分が負担するようになったり、親戚と同居して介護するようになったりした場合は、その家族を「扶養家族」として養うために必要と認められる一定の金額を所得から控除できます。
親の場合は年金収入が158万円以下、配偶者の場合は所得が38万円以下であれば、その人の生活費を負担する人は38万円あるいは58万円の所得控除を受けられます。つまり、実際の給料よりも38万円あるいは58万円安い給料しかもらえなかったものとして税金を計算できるということです。当然、税金は安くなります。
イメージとして、年収350万円の方が結婚して配偶者と子どもが扶養家族となった場合は、所得税は年間7万円程度安くなります。
このような家族の変動も会社は代行して計算してくれますが、年末調整後に家族の変動があった場合には、当該年度分の計算は自分でやるしかありません。
年間10万円以上の医療費がかかったとき
にゃんこの費用は含まれません。
「にゃんと」
年間10万円以上の医療費を支払った場合、10万円を超える分の金額を所得から差し引くことができます(最大200万円まで)。
これを医療費控除といいます。保険金の給付を受けた場合、その給付額は10万円にカウントしません。
医療費控除、意外と該当する場合があるのです。
なぜなら、
家族の医療費を合算できる
家計を同じくする家族であれば医療費をまとめて申告することができます。同居する夫婦や子どもだけでなく、遠距離の扶養家族の分もまとめられるようです。特に、介護が必要なご親族の医療費を負担している場合には優に年間10万円を超える場合もあるでしょう。
交通費も含めてよい
病院までの交通費を含めて計算できます。高齢者の通院にはタクシーを利用する場合がありますから領収書をとっておくといいですね。
不妊治療等の高額医療も含めてよい
高額になりがちな不妊治療も含められます。
期限
医療費控除は最長で5年前まで遡って適用を受けられます。
医療費を10万円以上支出した年の源泉徴収票と、領収書を用意して、還付申告書を作成します。
もちろん、自立支援医療制度を使っている方も利用できます。
参考>>>「高すぎる発達障害の薬代を下げる!自立支援医療制度をみんな使おう」
ふるさと納税をしたとき
ふるさと納税をした人は、おおよそふるさと納税で支払った分の税金が安くなります。
自治体を選んでふるさと納税をすると、各自治体から「寄付金受領証明書」とお礼の品が届きます。
ふるさと納税をした翌年2~3月に「寄付金受領証明書」を添えて確定申告をすると、1,2ヶ月後に所得税が還付されます。6月には住民税の通知書が届き、ふるさと納税分が減額されていることを確認できます。
確定申告をせずにすむ「ワンストップ納税特例」という便利な制度もあります。「寄付金税額控除にかかる申告特例申請書」を記入して寄付先の自治体に送るだけで、税金の減免が受けられます。2018年は、申請書の〆切は1月10日までですのでご注意を。発達傾向の方は特に!
各自治体の返礼品をチェック
ふるさと納税サイトはたくさんありますから、適当なサイトで好きな返礼品を選んで納税先を決めればよいです。
例えば「ふるなび」では地域ごと、返礼品ごとにふるさと納税の自治体を検索できます。
被災地支援を納税で
個人的に応援したいのは、福島県南相馬市のふるさと納税。F-Styleという名前でやっています。
「「ふるさと納税」の寄付は、南相馬市を通じて、南相馬救援隊の活動に使われます。」
とのこと。
震災と原発事故で行政機能が弱まった南相馬市では、住民が自助団体を立ち上げて巡回バスを走らせたりインフラを提供しています。その活動費に充てられるそうです。返礼品も地元の生産物ではなく、あえて福島と関係の無いファッショングッズを選ぶなど工夫を凝らしておられます。
住宅ローンを組んだとき
家を購入、増築、改築して住宅ローンを利用した場合は、入居から10年間の間、住宅ローン残高の1%(あるいは住宅の価格の1%)を所得税から差し引くことができます。ローンの借り換えも対象となります。
この減免を受けるためには、1年目だけ自分で確定申告を行わなければなりません。一度確定申告をしてしまえば、次の年からは会社が年末調整で処理してくれます。
住宅ローン控除は、最長で5年前の分まで遡って税金を取り戻せます。
領収書や住宅ローンの債務表と、取り戻したい年の源泉徴収票を用意する必要があります。
確定申告のポイント
前年1月1日から12月31日までの収入についての確定申告は、次の年の2月中旬から3月中旬までに行う必要があります。1月中旬から税務署で申告用紙を配り始めます。
誰が申告するか?
家族でも収入額に応じて税率は人それぞれ違います。その中でも一番税率が高い人が申告するのがおトクです。
ただし、ふるさと納税では寄付者と申告者が同じでなければなりません。
確定申告の手順
必要書類を用意します。該当する年の源泉徴収票、還付金受取口座の通帳、印鑑、マイナンバー確認書類、本人確認書類、ふるさと納税の場合は「寄付金受領証明書」、医療費控除・住宅ローン控除の場合は領収書などがこれにあたります。
次に、確定申告書を作成します。
お近くの税務署に行けばもらえます。国税庁のウェブサイト(https://www.keisan.nta.go.jp/h28/ta_top.htm#bsctrl)では、ブラウザ上でフォーマットに入力して作成・印刷できます。
まとめ
お金の計算管理、毎年の申請や〆切…。ADHD気質の人間にとっては苦行ですし、失敗しがちなところです。作業工程をイメージすることが苦手だと、大変そうな想像が膨らんでしまい、先延ばしに至りがちですが、今回確定申告の手続を調べてみると、意外と簡単にできることがわかりました。払う必要の無いお金は払わず自分を守りたいものです。
ご本人やご家族に障害をお持ちの方がいる場合に受けられる障害者控除については、「障害者控除を申請して年末調整・確定申告で得をする方法」をご覧ください。
コメント