ストラテラとコンサータ、両方飲んだ経験があるので、比較した感想を記しておきます。
ADHDだと自覚して病院に行き、診断を受けるまでの経緯は「「大人の発達障害を診てくれる病院を探して。ADHD・ASDの私が診断を受けるまでの道のり[:en]診断を受けるまで」」をお読みください。
仕事が行き詰まり、サプリやツールでの独力での工夫に限界を感じ、薬を試してみることにしたのです。
まず血液を採られました。コンサータやストラテラは肝臓に負担がかかるので、肝機能をチェックするのだそうです。
結果は問題なく、コンサータから試してみることに。
ADHD治療薬 コンサータ
18mgを処方されました。
1年間ほどのみました。
効き目
すぐに感じました。
一番の違いは、【音】です。
飲んで30分くらいのことでした。静かになったのです。周囲がシーン…としていることに、急に気がつきました。
例えば、真冬の部屋でかけっぱなしにしていたエアコンを切ると、急に静かになって初めて、これまでエアコンがうるさかったことに初めて気がつきます。
コンサータは、まさにそのような体験でした。これまでの世界は雑音で満ちていたことに、まず【音】で気がつきました。
次に【興味】です。世界から急に、おもしろいことがなくなったのです。
音と同じように、つまらなくなって初めて、これまで認識していた世界が雑多な情報や興味を引く物事であふれていたことに気がつきました。
例えば道を歩いているときの景色。目の前や目的地の方向しか見えないのです。従来の感覚と比べると、道の途中で出会うはずの雑多な風景が全然目に入ってこないのです。
街路樹(葉っぱの重なりの美しさ)、歩道のタイル(の整然とした並びの美しさやいびつさ)、雲(のフラクタル的な美しさ)、人の顔(の多様さ、細部のパーツのおもしろさ)・・・
これらのものに興味を引かれ、おもしろく、美しいと感じていたことに気づきました。
他方、仕事は進みます。
他に興味を惹かれるものが特に無くなったからです。
副作用
食欲がなくなります。
お腹が減ることは減るのですが、特に食べたくないのです。空腹感が食欲にならないという不思議な感覚でした。
標準体重の私ですが、あっという間に3キロ痩せてしまいました。
吐き気・動悸が起きると言われるようですが、私には全くありませんでした。
ADHD治療薬 ストラテラ
2ヶ月ほど飲みました。
効果がでるまでに1ヶ月はかかると言われたため飲み続けましたが、すぐにやめたかったです。
効き目
穏やかだといわれています。
服用中に効き目に気づくことはなく、一ヶ月くらい飲み続けて、「あれ?最近なんだかミスが少ないな。計画通りに物事が進んでいるし、そういえば調子がいい」と気づくという感じです。
副作用
いつも服用後30分くらいで、むかむかして吐き気に襲われました。
吐き気という副作用はほとんど耳にしません。私の場合は、前述のとおりコンサータで食欲が落ち、あまり食べなくなっていたのも良くなかったのだと思います。
特に、何も胃に入っていない状態でストラテラを飲んだときには、薬の成分を全部吐き出してしまうのではないかというくらい強烈な吐き気がしました。ストラテラを飲む場合は、何か食べ物をとってからになさるのがよいかもしれません。私の場合、ご飯などの炭水化物を同時にとると吐き気はましになるようでした。
朝と夜に服用していたので、朝の服薬後はちょうど通勤時間に吐き気が襲ってきます。日常生活に支障が出てしまうので、ストラテラはやめました。
効き目もじんわりとあったのかもしれませんが、体感としてはあまりありませんでした。
服用感まとめ
コンサータはよく効きました。
だけど、飲みながらも疑問を感じていました。
仕事によい影響があるだけならよいですが、性格というか感情の幅が明らかに狭まるのです。カラーの世界がモノクロになるような体験です。それほど単調でした。定型の世界はこんなにつまらないのかと思いました。
世界がおもしろくないのです。美しさに気がつけないから気が散らないのです。
気が散るのは、はっと心を奪われるほどの価値を、目の前の事物に見いだすことができるからなのです。
コンサータ服薬中は、確かに定型に近づけたのでしょう。
しかし、早く寝れても、仕事が速くなっても、自分の一部が失われたようで、不完全さを感じました。
「発達障害の豊かな世界」という書籍のタイトルを思い出します。定型の世界と比べてこれほどの豊かさだったと分かったことは、いい体験でした。
そういうわけで、コンサータを飲むのはやめました。
服薬してみて本当によかったと感じています。
気が散ることは、自分の良さ・世界観と表裏一体であることが、身をもって分かったからです。気が散ることは私の価値でした。この美点は捨てられません。
仕事については、サプリとツールで、自分なりに工夫することにしました。
ADHDは治さない。
今もトライ&エラーの繰り返しで苦労していますが、この道で。
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